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あっという間に日は暮れ、辺りは真っ暗になった。 つい先程まで居候している八木家の庭にある井戸で、蔵掃除で汚れた体を洗い流していた壬生浪士組一同は、八木家より割り振られた小さな部屋に身を寄せ合って収まった。 「勇希君のご両親も今頃探しているでしょうかねぇ?」 沖田が何気なく呟いた。 その言葉に勇希の脳裏に今まで思い出さないようにしていた父母が浮かんだ。 あの夢で見た両親は、泣きながら自分を探していた。 「どうしましたか?」 山南が勇希の瞳に溢れる涙に気付いて優しく問い掛けた。 「両親のこと思い出したんじゃねぇの?」 原田はゴロリと横になっている。 もう寝るつもりなのか、声が眠たげだ。 「おい歳、どこ行くんだ?」 部屋から出て行く土方に近藤が声を掛けた。 「ガキは嫌いなんだよ。 泣き虫なガキはもっと嫌いだしな。」 土方はそのまま夜の闇の中に紛れて行った。 勇希は遂にポロポロと大粒の涙を流し始める。 「勇希君、歳のことは気にしないでいい。 あいつは昔からああなんだ。 別に勇希君が嫌いというわけではないよ。」 近藤の大きな手が勇希の頭をすっぽり包む。 温かな手だった。
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