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「そのくらいで泣いちゃ駄目だよ。
男はね、両親が死んだ時以外は泣いたらいけないんだよ。」
沖田も幼い頃に両親を亡くし、それからは年の離れた姉に育てられた。
今では近藤が父親代わりとなっている。
沖田はいつも無邪気で一見子供っぽい性格に見えるが、やはりれっきとした武士であり、この付き合いの長い試衛館の一同であっても、沖田が人前で泣くのを見たことはなかった。
「だって……。」
しかし勇希の涙は止まらない。
さらにポロポロ流すばかりだ。
「近藤さん、頑張って下さい。」
勇希を腕に抱いていた藤堂がヒョイと勇希を近藤の腕に押し付けた。
「そうだ、近藤さんならお子さんもいるし、子守は手慣れたものだよなぁ。」
永倉が豪快に笑う後ろでは原田がいびきをかいている。
「いやいやいや…。
あぁ…江戸に残してきたたまも、今頃こんな思いしてるんだろうなぁ…。」
近藤は故郷にいる自らの子を思い、見事に落ち込んだ。
ただでさえ小さい部屋の隅にデカい体を懸命に丸めて座り込む。
「おい総司。
お前の理論からいくと、近藤さんは男じゃないぞ。」
永倉がボソボソと言う。
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