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「えっと…。
何て言うんですか?
アレですよ、アレ。
前言ちょっと撤回です。」
近藤を誠の武士と慕って止まない沖田。
少しだけ情けない近藤の背を目の当たりにし、自分の発言をあっさり(ちょっとだけ)撤回した。
「勇希君、必ずご両親を見つけてあげるからな。
心配しなくていいぞ。」
近藤は袖で顔を覆いながら、勇希の肩を叩いた。
あまりにも力強く叩くものだから、前につんのめってしまったが勇希は何も言わなかった。
近藤の姿を見ているうちにいつの間にか涙は止まっていた。
側にいるだけで安心できる。
近藤勇はそんな人物だった。
その夜、勇希は生まれて初めて雑魚寝というものを経験した。
狭い部屋に所狭しと布団を並べ、皆で寝た。
フラリと戻って来た土方は、原田や永倉に「女に振られたのか?」とからかわれ、ブスリとした顔でさっさと一番隅の布団に潜り込んだ。
沖田や藤堂などは、始め勇希と共に枕投げをやっていたのだが、いつの間にか、勇希をほったらかして二人で本気の枕投げを始めた。
すでに隅の方で寝入っている人が数人いたが、お構いなしである。
結局、ブチ切れた土方に叱り飛ばされ戦いは終結した。
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