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何度見ても思う。
「相変わらずデカいな…」
御鏡の村の隣街、『カエデ』。
その名の通り、紋章は楓。
なんでも、この辺境の地を開拓していた頃、冬でも紅葉していた楓の木があったと言う。
その木を中心に作られた街が、このカエデらしい。
…まあ、眉唾ものの話だが。
列車も通っていて、この地方だと、一番大きく、発達している街だ。
御鏡達の村とは大違いだ。
「ああ…。あの娘さんは相変わらず胸デカいな…」
どこ見てやがる、エロオヤジ! と、御鏡は心の中でツッコミを入れる。
「母さんに報告な」
「それだけは!」
慌てふためく御鏡父。
御鏡父と御鏡母は仲は良いが、立場は御鏡母が上だ。
いわゆる、『尻に敷かれた』状態だ。
「じゃあ、俺街うろついてくるから」
御鏡父が御鏡を説得しようとしているとき、
「あら、御鏡さん、精がでますね」
常連のオバサンがきて御鏡父は応対に急ぐ。
ナイスタイミングだ、オバサン! と御鏡はグッと親指をたてる。
御鏡はその隙にその場を後にした。
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