冒険の幕開け

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 その珠はもともと、元王族付き科学者が研究していたが、途中でクビになった。  仕方なく盗賊になったものの自身の能力が弱く、襲った相手に返り討ちにあいまくり、命からがら逃げ出すことが多かったらしい。  そこで出番だったのが能力珠。  その元科学者はまず、〝自分の能力を能力珠で抜き取った〟。  つまり、自分の体に能力が〝無い〟状態にした。  その後、盗賊が旅人を襲う現場を待ち伏せし、戦闘後に〝負けた方の能力を能力珠で抜き取った〟。  そして、先に抜き取っておいた能力を自分に入れ、〝能力を取り入れた〟。  この方法によってその元科学者は強くなったと言う。  その後、能力珠はあちこちに出回った。  その元科学者は、能力珠によって巨万の富を手にしたが、どこかに姿を眩ましたらしい。  市場に出た能力珠は、盗賊の手にも渡り、能力を奪う盗賊が普通になった。  そして、ウチのじいさんも能力を奪われたという訳。
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