第六章・―逃げる想い、掴む想い―

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 そこにまずつまずいて、結局いつものように親友を呼び出してしまった。   「……お前、俺にも予定というものがだなぁ」   「頼むよ、海斗。今度、今度こそこれっきりにするから。しかも晩飯なんかおごる!」   「いやいやいや、お前。俺がいつも、それにつられると思うなよ?」    二人共に会社帰りのスーツ姿で、待ち合わせの場所につく俺を見るなり海斗が盛大なため息をついた。    文句を言いつつも、毎回恒例となっている緊急の呼び出しをすっぽかさず、律儀にきてくれる海斗に感謝する。    すると海斗はもう一度ため息をつき、背後に視線をやって続けた。
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