第六章・―逃げる想い、掴む想い―

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「つかまえた!」    数メートル走ったところでようやく追いつき、彼女の腕をつかんで振り向かせる。    それでも彼女は顔を逸らして、うつむいて俺から視線を逸らしてしまった。    名前を呼んで、どうして逃げ出したのか聞いてみる。だけど彼女は俺を呼ぶだけで、後をどう続ければ良いのか迷っているようだった。   「良いよ」    彼女を安心させたい。二度と離したくない。ずっと傍にいて欲しい。俺は君の事なら、なんでも分かっているつもりだから。    心の底から思う、伝える、だから君の気持ちを聞かせて欲しい。覚悟を決めて、俺は彼女にうったえていた。
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