第七章・―永遠に、両想い―

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「こんな気持ちになるのは、俺ばかりじゃないって思いたかった。……だから」   「先輩」    先輩はいつのまにか泣いていた。    本当に、そんなにも真剣に私の事を考えてくれていたなんて、胸が熱くなって歩みより、ハンカチをだすと、先輩の頬に伝う涙をぬぐう。   「猫ちゃん、俺、猫ちゃんの事、大好きだよ」    ハンカチを持つ手をにぎって、私の動作を止める先輩が、泣きながら必死に伝えてくれる。    今まで不安だったのは、私だけじゃなかったんだ。    嬉しかった。    先輩も同じ気持ちで、それでも私を引き止めようと、必死になって、ずっとそばにいてくれていた。    その事実が知れただけで、充分に幸せだった。
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