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話しながらは歩いているといつもの赤提灯が見えてきた。
高級店じゃないが味は日本一だと思う。
「居酒屋でも良いですか?俺の行きつけなんですけど味は最高ですから。」
OKサインを確認して店に入る。
座敷の奥に二人で座ってメニューを見ると
「とりあえず乾杯だね!生ビールかな‥。でも透は甘いカクテルの方が良いかな?」
沙羅さん鋭いな‥。
正直なところビールは苦いから飲まない。
だがここでカクテルなんか頼んだら大爆笑される。
俺は笑顔で
「やっぱり乾杯は生ビールですよ!バシッと飲みましょう!」
格好付けてみたもののバレないようにしないとな‥。
注文をして煙草をくわえながら沙羅さんを見るとジッポを指で弾いて火を着けていた。
少しくすんだシルバーのジッポにメンソール。
変わらないなぁ‥。
黙って見つめていると
「何見てんの?私の顔になんか着いてる?」
不安げに聞いてくる沙羅さんに俺は
「変わらないなぁと思って。ジッポの着け方とか煙草の銘柄が昔のままですよね。」
と答えた。俺も真似してたけどいつも失敗してたな。これがまた決まると格好いいんだよ。
「透はジッポ着けるの下手だったよね。不器用なくせに格好つけて。初めて会ったときも無愛想でさぁ‥。」
苦笑いしている沙羅さんを見つめながら俺は出逢った頃を思い出していた。
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