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「…ただいま」
三人が家を出た少し後、疲れ果てたレムスが帰宅した。
「…どうしてお前がここに」
「朝帰りお疲れー。飲む?注ぐのは未明だけど」
未明が由衣に緑茶を注いでいた。
二人は何か話していたようだ。
「…くれ。…どうしても見つからなかった。それらしき目撃情報も気配も…」
レムスが茶を飲みながら話す。
「既に報告が届いているから知っているわ。…あなたも持ったら?便利よ」
携帯電話のストラップを持ち携帯を左右に揺らす。
「…邪魔だし」
「まだ気にしているのね…『あれ』ぐらいで動揺するほうが悪いのよ」
「普通動揺するだろ!買った途端、どうしても電話番号とメールアドレス教えて欲しいからって一日に三十人ぐらいの女性隊員から言われてしつこいから教えたら一人頭百件のメールと十件の着信が来た俺の気持ちがお前にわかるか!!」
「…世界中の男がそれを聞いたらあんた殺されるわよ」
「実際に見てないからわからないんだ、俺の恐怖が!中には訳のわからない約束を取り付けられたり、いつの間にか彼氏扱いされてたり、終いには携帯に限らず家の前に得体のしれない物体まで置いてあったり、家に帰る時にはいつもいくつかの視線を背後から浴びてたり…」
「…確かに私があんたと喋っている時もかなり痛い視線があったような…」
「…俺は絶対に買わない!!」
「…まあ、いいけど。未明は要る?」
「…?扱い方がわからないので遠慮しておきます」
機械オンチなようでそうでない、不器用なようで器用な未明は携帯は駄目なようだ。
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