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「私はあなたは絶対に学校に行くべきだと思います。社会など全く関係ありません。きっとあなた自身のためになりますよ」
「いつもあまり喋らない未明が言うとやけに説得力があるな……わかった。行くよ」
理由も根拠もない未明の言葉は臨に届いたようだ。
「相変わらず面倒くさいやつだな。それと学校は明日からだからな。丁度『始業式』の日だ」
「……いきなりかよ」
「臨さん頑張ってください」
「別に頑張ることもないがな…」
場の雰囲気を壊すかのように電話が鳴る。
「はぁ」
電話に出たレムスが溜め息をつく。
「携帯買えばいいのに」
横から臨が呟く。
「……わかった」
レムスが電話を切る。
「臨、『死喰人』だ……が、お前は来なくていい」
「前から一ヶ月ぶりぐらいか、何で来なくていいんだ?」
「死喰人がもう現場にいないようだ。逃げ足の速いやつらしく『生脈』の気配がほとんど残っていないため探しようがないようらしい。一応一番近い場所に住んでいる俺が捜索部隊の護衛に行くことになった」
「探しようがないのにどうやって探すんだ?」
「死喰人も人間だからな。科学方面で探す手もある。お前は家で待機していろ」
レムスが家を出て事件のあった場所へ向かう。「携帯買えば連絡取り合うのも簡単なのに……」
レムスの家の電話を見つめながらまたもや臨はつぶやいた。
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