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人気のない路地裏…赤い光が辺りを覆っている。
「…相当な使い手だな」
事件があった路地裏にレムスが到着し、頭と片腕の肘から下がない男の切り口を見る。
中身は丸見えだが見慣れているのか表情を変えない。
「何か刃物のようなものでやられてると思いますが……」
近くにいた機関の捜索部隊の一員らしき男が話しかけてくる。
「見たらわかる。今まで何度も切り口は見てきた。これはかなり刃物の扱いに手慣れいる奴のやり方に見えるが、あまりにも切り口が綺麗なんだよな。何か違和感があるんだが頭にひっかかってわからない」
他の被害者の二人も同様だった。
まるで刃物が滑らかに通り過ぎた位置に彼らの体があったような感じだった。
「……死喰人の生脈の探知は?」
「それが、ある一点でぷっつりと切れていて探しようがないのです」
「ぷっつりと?そんな急に消えるわけないだろ。誤解をもたらす言い方をするな」
「それが…本当に急に途絶えたのです」
「…そこへ案内しろ」
死体が転がっていた場所からニ、三十歩歩く。
死喰人の生脈が切れていたのは路地裏から人気がある大通りへの道の途中だった。
「……馬鹿な」
熟練のレムスでも感じることはできなかった。
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