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「こうやって、なるべく痛めないように蝶を止めるんだ。いいかい?」 「うん、分かった!!」 そうして、春人は嬉しそうに沢山の針をもらった。 「標本にしたいものは、自分が、美しい、ずっと見ていたい、そう思うものだけを選ぶんだ。無闇に殺してはいけないよ」 「ずっとみてたい…………」 「そう。自分が大事だと思うものだ。わかったかい?」 「うん!!」 元気に返事をして、春人は部屋を出ていった。 ◆ ◆ ◆ その一ヵ月後、街に奇妙なものが現れはじめた。 針、または釘など、鋭利な細長いもので、様々な生き物が串刺しにされているのだ。 その数は100を越えていた。そして大抵、近くで幼い子供が目撃されるという。 私は、もしかすると、と思い春人のもとに走る。 ◆ ◆ ◆ 「困ったな。僕にはたくさん大事なものがあるから、止めるのが大変だ。他には何か、針の代わりになるものはないかなぁ。あぁ、本当に困った」 その家には死体があった。 包丁で胸を貫かれた死体が。 春人の両親が串刺しにされた姿が。 そして、今まさに私の胸にも――― ~END~
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