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昔々のお話です。
ある所に、一人の探検家がいました。
探検家はある時、遠い遠い、ずーっと向こうの国に、三つ目の人間がいると聞きました。
それを聞いた探検家は、ぜひとも見つけてみたいと思いました。
探検家は、その三つ目人間を自分の国に持ち帰って、見せ物にしたり、労働力にしてお金を稼ごうと思いました。
そうして、遠い遠い、ずーっと向こうの山の奥の奥の、もっと奥に辿り着いた探検家は、そこで沢山の三つ目の人間が静かに暮らしているのを見ました。
そこで探検家が、三つ目人間を捕らえようと、その中に躍り出ようとした時です。
「―――――!!」
誰かが叫んで、探検家が後頭部を殴られるのを感じ、そのまま探検家は気絶してしまいました。
探検家が目を覚ますと、自分は裸で、檻の中に居ました。周りでは沢山の三つ目人間が檻の中を覗いています。
「―――――!!」「―――――?」
三つ目人間は、よく分からない言葉で、驚いたり不思議そうにしていました。
◆ ◆ ◆
それから一ヵ月。探検家は、やっとだいたいの相手の言葉の意味を理解しました。
どうやら三つ目人間達は、自分を見せ物にしているようでした。
彼は怒りました。
◆ ◆ ◆
さらに一ヵ月後。探検家は働かされていました。
抵抗もできず、逃げだせもせず、休まずに働かされました。
彼は疲れました。
◆ ◆ ◆
また一ヵ月経ち、探検家は、もう帰れないのかもしれないと思いました。
彼は泣きました。
◆ ◆ ◆
次の一ヵ月後、探検家は、もしかしたら自分が間違っているのかもしれないと、と考えました。
三つ目の人間が普通で、自分が珍しいのだと。
彼は、自分を恥じました。二つの目しか持たない自分を。
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