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そして、それから何ヵ月か経ち――――
その探検家は動物のように、三つ目人間達と暮らしていました。
餌を貰い、働き、寝る。その作業を、いやたったそれだけの作業を、彼は繰り返していました。
それは奴隷と言えるかもしれません。しかし彼と三つ目人間達は、同じ種類の生物ではない。
それならば、やはり三つ目人間達にとって、探検家は動物以外の何物でもないはず――――そう、言わば私達にとっての『言葉を喋るチンパンジー』と同じでしょう。
いくら姿形が似ていても、同種でないことは疑いようもない事実なのです。
そしてだからこそ彼は、もはや何も考えていません。それが普通だと思うからです。
探検家自身、奴隷や家畜がどういう存在かはよく知っていましたから。
◆ ◆ ◆
……彼が、最終的にどうなったのかは、誰にも分かりません。
でももしかしたら、今もどこかで三つ目人間達と幸せに暮らしているかもしれないですね――――動物として可愛がられながら。
これは昔々の、本当にあったかもしれない話です。
~the common sense is absurd~
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