第十六章

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side 藤堂平介 芹沢さんの事件がようやく収まり琴も落ち着いた頃 オレはあの時の事件が頭にちらつく。 オレが… オレが…あいつを危険にさらした。 あいつ… 琴の側にいて見張っていれば怖い思いをしなくて済んだ。 何やってんだよ…オレ。 "好きな女" も守ってやれなかったのか? 「だせぇ…オレ…最悪だ…」 珍しく誰もいない稽古場で俺はボソッと呟き 何度も何度も竹刀を振るった。 まるであの事件をかき消すように 琴は泣きそうな顔を一生懸命作った笑顔を俺に見せ 「へ…平介…ウチ、大丈夫やから…」
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