第1章 始まった日々

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まさかの条件付きに、少し動揺した俺は、つい声を出してしまっていた。 どんな条件なんだろう。 少し、いや、かなりドキドキしていると、彼女は条件を提示した。 「敬語、止めてください。なんか他人同士みたいですから」 正直、唖然とした。 そんな、簡単なこと? そんなことで彼女と友達になれるのなら、もちろん・・・ 「ああ、分かったよ。俺もこっちの方がいいから。じゃ俺も条件言っていいか?」 「はい、どうぞ」 俺から友達になろうと言ったのに、少し理不尽だと自分でも思ったが、彼女は快く許してくれたので続ける。 「夏海って、呼んでいいか? そっちの方が、なんか落ち着くから・・・」 「フフッ、そんなことでしたら、どうぞ、名で呼んでください。私もそっちの方が嬉しいですから」 彼女は微笑みを湛えながら、云ってくれた。 それだけで、俺の気持ちまで穏やかになった。 そしてまた一つ、気が付いたことが。 「夏海は、敬語のままでいいのか? 堅苦しいなら、敬語使わなくてもいいぞ?」 「あっ、いいんです。私はこれで。これが一番落ち着きますから」
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