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「そうか? ならいいんだけど・・・」
「はい、気を使っていただいて有り難う御座います。それより、私も貴方のことを、知くん、と呼んでもいいですか? なんか可愛いですし」
か、可愛い!?
まさかの提案に少し戸惑うが、自分も似たような事をお願いしたのだから、もとより俺に拒否権はない。
・・・しかし、まさか同じぐらいの年頃の女の子(しかも、超がつくほど可愛い)に、『知くん』と呼ばれることになろうとは。
・・・なかなかに恥ずかしい。
「ああ、別にいいよ。俺も同じような事、頼んだんだし」
「フフッ、じゃあこれから宜しくお願いしますね。知くん」
やべぇ、やっぱり恥ずかしいです。
しかし、彼女が喜んでいるのならば、それでもいいか。
こんな、眩しいくらいに耀く笑顔を見られるのならば・・・。
「あっ・・・、もう行かないと!」
彼女は、高台に据えられた時計台を見て、そう声を上げた。
「ごめんなさい、私そろそろ行かなくちゃいけないから」
「ああ、分かった。えっと、今日はいろいろありがとな、夏海」
「いえ、お礼を言うのは私の方です。知くんと話せて楽しかったです。有り難う」
素直にそう云われて、俺は少し迷ったが、今度は後悔しないように、ちゃんと彼女に言った。
「ああ、じゃあまた明日な」
そう告げると、彼女は嬉しそうにこう答えてくれた。
「うん、また明日!」
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