第1章 始まった日々

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「そうか? ならいいんだけど・・・」 「はい、気を使っていただいて有り難う御座います。それより、私も貴方のことを、知くん、と呼んでもいいですか? なんか可愛いですし」 か、可愛い!? まさかの提案に少し戸惑うが、自分も似たような事をお願いしたのだから、もとより俺に拒否権はない。 ・・・しかし、まさか同じぐらいの年頃の女の子(しかも、超がつくほど可愛い)に、『知くん』と呼ばれることになろうとは。 ・・・なかなかに恥ずかしい。 「ああ、別にいいよ。俺も同じような事、頼んだんだし」 「フフッ、じゃあこれから宜しくお願いしますね。知くん」 やべぇ、やっぱり恥ずかしいです。 しかし、彼女が喜んでいるのならば、それでもいいか。 こんな、眩しいくらいに耀く笑顔を見られるのならば・・・。 「あっ・・・、もう行かないと!」 彼女は、高台に据えられた時計台を見て、そう声を上げた。 「ごめんなさい、私そろそろ行かなくちゃいけないから」 「ああ、分かった。えっと、今日はいろいろありがとな、夏海」 「いえ、お礼を言うのは私の方です。知くんと話せて楽しかったです。有り難う」 素直にそう云われて、俺は少し迷ったが、今度は後悔しないように、ちゃんと彼女に言った。 「ああ、じゃあまた明日な」 そう告げると、彼女は嬉しそうにこう答えてくれた。 「うん、また明日!」
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