3人が本棚に入れています
本棚に追加
彼女が去ったこの高台のベンチに腰を下ろし、俺は考えていた。
昨日の彼女の、あの切なさを、今日俺は少しでも拭い去れただろうか、と。
今日、彼女は笑っていた。
とても昨日のような表情からは考えられないくらいに・・・。
作り笑い、といった感じではなかった。
確かに彼女は『笑っていた』のだ。
それは俺が少しでも、彼女の為になったということだろう。
それだけで、満足だ。
俺なんかが、昨日のような彼女から、救ってあげられた。
少し自意識過剰かもしれないが、俺にとってはそれでもよかった。
彼女が笑ってくれるなら・・・。
また・・・・・・来よう。
昨日とは、意味は同じでも、込められた感情は全く違う、この思い。
石段を降りる度に、気持ちは前へ前へと進んでゆく。
先の視えない、この果てなき青空のような、未来に向かって・・・。
今は、ただひたすらに・・・。
最初のコメントを投稿しよう!