プロローグ

2/6
前へ
/59ページ
次へ
「ぐあぁ~、アチィ・・・。こんな日に練習って、死ねっつってるようなもんだろ・・・」 こんな、どこにでもありそうな愚痴を洩らしているのは、俺、本村知告(もとむら ともつぐ)十五歳、独身。 (って、独身じゃなかったら犯罪者だな、俺・・・) ・・・どうでもいいネタしか思い浮かんでこない、帰宅帰りのサラリーマン並みに疲れている高校一年生だった。 まあ無理もない。なにせ部活の練習のハードさには、本当に堪えていた。 『辛い』。そんな言葉を一日に何回使っているか数えたこともある。最大で四十三回も一日で云っていたこともあった。 (ギネスに申請でもしようかな。[世界一『辛い』高校生]って。・・・・・・なんか悲しくなってきた・・・) なんで華の高校生活を、こんな苦難に満ち溢れながら過ごさなきゃならんのだ。ああ、一体何回部活を辞めようかと考えた事か。 しかし、辞めるわけにはいかない。 それは何故か? 決まっている。 プ・ラ・イ・ド の為だ。 まあ正直いうと、父親と喧嘩して、つい『そんなに云うなら、俺は高校三年間、剣道部やり抜いてやるっ!』と豪語してしまったのが始まりだ。今思うと、まんまと親父に乗せられた気がする・・・。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加