3人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はまた、天国への試練の前に居た。
今日は昨日より、ここに来た時間がかなり早く、まだ日は頭上に煌々と照り輝いていた。
今日の学校は、夏休み前日ということで、終業式とLHR(内容は、恒例の夏休みの過ごし方の注意事項と、各教科の宿題の配布だった)の、合計二時限のみだった。
今日は全ての部活動が一律停止なので、こんなにも早くこの高台に来ることが出来たのだった。
部活が休みということは、本来昨日より比較的楽に、この試練に挑むことができる筈なのだが、俺は一回家に帰り、昼飯を食ってきたので、昨日とはまた違ったしんどさがある。
(まあ、そんなことどうでもいい。それよりも・・・)
昨日の彼女・・・。
俺にとっての目下の心配事はそれだった。
はっきりいって、夏休みに関する注意事項など、頭の片隅にも残っていない。
今日は怖じ気づくことなく、彼女に話しかけることが出来るだろうか。
(・・・なんか、告白する前のシャイボーイみたいだな、俺・・・)
ていうか第一、彼女今日高台に来るのか?
それより、なんでこんなストーカーみたいな思考巡らしてんだ?
俺おかしい奴っぽいな。
ていうかおかしいのか?
わ――、
「分からんっ!!」
叫んでからハッと気付き、口をつむぐ。
まあ石段の途中だから、誰にも聞かれてないとは思うが・・・。
(もう覚悟決めていこう、うん)
思考がショートするまで悩んでたってしょうがない。
その時になったら考えよう。
そう結論づけて、とりあえず脳を休ませる・・・・・・筈だったのだが、石段を上りきった俺は、またすぐに脳の活動を再開することになった。
その理由は決まりきっていた。
彼女が、そこに居たのだ。
最初のコメントを投稿しよう!