◇つぼみの誘惑◇

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◇つぼみの誘惑◇

「ねぇ健ちゃん、私ね最近とても桃ちゃんに女を感じるの。」休日の朝、妻がエスプレッソをいれながら話しだす。ダイニングにはトーストの香ばしい匂いも立ちこめだした。 「桃ちゃんだってそういう年頃だろう、カレシがいるんじゃないのか。」僕はわざと「彼氏」を今どきの若者風の発音で声にした。  もちろんまだ僕と桃ちゃんに既成事実はない。 また何か言おうとした妻の唇に僕の唇を重ね、首筋からバスト、細いウエストへと指を伝わせた。 「あん、ダメ、ダメよ…パンが焦げちゃう…」妻の息遣いが荒くなる。 「いいさ、また焼けば。」妻を抱き抱えベッドルームへ移動する。 まるで待ち構えていたかのように僕のモノを包み込む妻の中で僕は果て、ベッドでぐったりその暖かな余韻に浸っていた。 ふと余韻を遮るように携帯が鳴る。 仕事でトラブルが発生し、客先の目黒まで行かねばならなくなった。 熱いシャワーを浴びて気持ちを切り替える。 休日なのでスーツではなく、ポロの綿シャツにチノパン、ノーネクタイで出かけることにした。愛車の調子は良好だ。
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