forte

もう夏の大会っすか

　俊の持ち味はｺﾝﾄﾛｰﾙの良さだ。球のｽﾋﾟｰﾄﾞはやはり1年ということもあり遅く、ﾏｯｸｽでも120ｷﾛぐらいだが、それを補えるほどのｺﾝﾄﾛｰﾙはあると俊は自負していた。

　その初球、俊は桃倉の指示通り外角にｽﾗｲﾀﾞｰを投げる。これは上手くｱｳﾄﾛｰに決まりほっとしたﾊﾞｯﾃﾘｰだったのだが、2球目のｶｳﾝﾄを取りにいったｽﾄﾚｰﾄを見事にﾚﾌﾄ前に弾かれてしまった。

「いやーしかしさすがだな…」
俊のつぶやきも自分自身にしか聞こえない。それがﾏｳﾝﾄﾞという晴れ舞台である。

　そしてここで2番に確実にﾗﾝﾅｰを進められ、3番にはｾﾝﾀｰ奥深くまで運ばれたものの、ｾﾝﾀｰ水野がなんとかｷｬｯﾁ。しかしﾗﾝﾅｰは余裕で三塁へﾀｯﾁｱｯﾌﾟ成功。2ｱｳﾄ三塁で相手の4番を迎えた。