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道端に座り込んでいると、雨が降り出してきた。
「ハハハ……、滑稽…だな。親父…、おふくろ……、今…そっちに…行く……か…らな……」
董悟は、10年前に事故で両親を亡くし、それいらい、施設で育った。口から流れ出す血、薄れ行く意識、冷たくなっていく自分の体…
全てが自分に“死”を確証させる。そして、“佐藤結”に会えず死にそうになっている自分を、悔やんでいた。
すると、一台の車が董悟の目の前に止まった。
「金城君⁉」
「…?だ……れ…」
「そんなことより‼どうしてこんなところで座り込んでるの⁉体冷えてるし‼」
「“佐藤結”さん…に、あ……いに………」
「え…、私に?」
止まった車は、偶然にも病院へと向かう佐藤親子の車だったのだ。
「あ……なた…が、佐藤…ゆ……い…?」
「…うん。」
「き…のうは、あ……りが…とう……」
「と、とりあえず車に乗って‼病院に連れて行ってあげるから‼」
董悟は、結に肩をかり、車に乗って、病院へと向かった。
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