絶望の条件

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社長と副社長の思いは、死神課の社員だけではなく、すでに会社全体に広がっていた。 カオリは佐伯の行き先を調べていた。 突然の休暇から一年も経過していたことを後悔している最中だ。 どうして後悔をしているのか? それは佐伯の放浪癖である。 調べた結果…彼は国内ではなく、海外にまで出ていた…。 思い返せば、チベットにある兄弟会社から佐伯は半年前に現れたという情報から始まった。 まさかこんな事態になるなんて思ってもいなかったカオリは、そこからの佐伯の足取りを調べていなかった… 後悔しながらも必死で探した。 世界中にある兄弟会社や子会社に連絡をしていく中で、少しだけ足取りが明らかになった。 チベット→北朝鮮→韓国→イタリア→フランス→ベルギー…行き当たり感の丸出しにカオリは怒りが沸き起こった… 「ベルギーにいたのが3週間前か…何で電話した時に場所を聞かなかったのよ!」 独り言をブツブツ言っては、デスクを指で小突いていた。 「なぜ二日は帰って来れないのかな…パレットを使えば1分もいらないじゃない…」 それでもカオリは佐伯を探した。
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