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観死長室に入る男。
片桐だった。
手には資料を持っていた、観死長からの呼び出しであった。
「どうだ片桐?」
観死長はコーヒーを用意していた。
「いただきます。」
対面してソファーに掛けた。
「観死長、今回の件は非常に無駄な事ですが、全件を私に委ねて頂き有り難うございます。」
無表情のまま、観死長に一礼をした。
「あの場面で君は苛立ちを露わにしてたね?
君は元死神課だろ?古巣に対して気持ちがあったんじゃないか?」
コーヒーを一口飲み、観死長の問いに答えた。
「まったく、1㎜もありませんね。」
彼は指で幅を作りながら笑った。
「そうか。
私は純粋に見直しを考えただけでね、死神課の現在を知らぬまま潰す事はできないだろ?
まずは敏腕社員の仕事を見て、存続問題に取りかかるも悪くないはずだ。」
片桐は資料を観死長に渡した。
「この二人でいきます。」
観死長は資料に目を通しながら頷いた。
「片桐、私は君が死神だった頃を知らない。
だが、君の迅速な対応など…功績は知っている、期待をしていいのだな?」
片桐は笑顔を浮かべながら答えた。
「現在の死神が、如何に無駄か…私がはっきりさせましょう。」
退室をしようとする片桐に、観死長は声をかけた。
「神会社の選抜…たしか佐伯だったか?彼は知っているのか?」
ドアノブを引きながら片桐は言った。
「あそこの死神課で一番甘ったれの素人ですよ。」
ドアが閉められた。
観死長はこの時、片桐が極端に冷たい目になる事を初めて知った。
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