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そんな死神課に何かガサガサという音が聞こえた。
カオリちゃんに音が近づいた。
皆は彼を目で追う、誰も口を開かない。
「ナイススピーチ!はい、ベルギーワッフル。」
ボロボロの麦藁帽子の紐に肉が引っかかっている。
ブルーのアロハシャツは汗を吸い込み、群青色に変わっていた。
彼は死神課の変な雰囲気を感じとれたようで、皆を見て口を開いた。
「なんなの?みんな怖い顔して~!土産あるから安心しろよ!ぶっはっはっ~!」
カオリちゃんの目には涙が溢れていた。
皆もそのようだった。
だが彼は、それに気づかないままで、茶色の紙袋から土産を取り出していた。
「待ってたぞ!!」
その声が合図だったかのように、社員は彼を囲み一斉に頭を叩きだした。その光景は、逆転サヨナラホームランを打った選手とチームメイトの喜びようだった。
その騒ぎの外には、気絶から復活を遂げた陣八さんが腕を組みながら見ていた。
陣八さんは珍しく笑顔だった。
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