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タクシー乗り場で、いつかの運転手さんがフロントガラスを見つめながら頭を抱えていた。
「どうかしました?」
「あっ!!死神課の人ですね!
困りましたよ…」
何やら悩んでいるようで、目には薄く涙が浮かんでいた。
フロントガラスが割れていた…
「これね…桜田陣八さんを乗せて来たんですが、お代金を払わないと言われ…止めようとしたら…」
思い出した。
この運転手は以前、桜田陣八さんのところへ向かう時に乗ったタクシーだ。
相変わらず運がない…桜田陣八との相性が悪いのだろう。
「あの…私はこれから用事があるんですが、これでは乗せてもらえませんよね…?」
運転手さんは暗い顔から一変、縁日の子供のような目をした。
「いきます!いきますよ!」
売り上げ命。
運転手は前方が見えやすいように残りのガラスを自ら叩き割った。
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