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「失礼します。」
その声に反応をしたのはガッシリした体格で、顎には長い漆黒の髭を生やした男だ。
会社の副社長であり、社員に最も恐れられる存在である閻魔、その人である。
「おう、カオリ~忙しいのに悪いのぅ。」
ちなみに関西出身である。
「いえいえ、ご用ですか?」
「そやけど、ちと話が長くなるわ。
そこ座れ、茶でええか?」
「ええ…いただきます。」
副社長室には重苦しい空気が流れていた。
そんな中、副社長は茶の用意をしながら話を始めた。
「今回は頭を抱えてんねん…」
何も知らない事務の女性社員は黙って聞いた。
「わかりやすく言うとやな、死神課を無くす動きがあるんやわ…」
「ええぇ!!」
室外まで届いたであろう、それは見事な驚き声だった。
「この前あった会議で本格化してきたわ…
まずコスト削減ちゅう話から、以前あったリストラの話でな、死神課の仕事は人員が少ない割に、経費がかかる…それにしては会社の利になってへん言うてな…」
「そんな勝手な…私は認めれませんよ!先代の社長達が死神を必要として、今まで数々の迷魂を救ってきたじゃないですか!!」
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