1001人が本棚に入れています
本棚に追加
私は彼に言った。
「あの…この町の方ですか?」
彼は息を整えながら私を見て返答した。
「いいえ。
ここに来たのは初めてですよ、なかなか良い田舎町だな~と…ぶらりですよ。」
その言葉には無邪気さを感じた。
この佐伯という男性は澄んだ目をしている。
「ぶらりですか?旅の人が河原で溺れているなんて…」
私はポツリと呟くように言った。
「そ~ですか!ぶっはっはっはっ!
お恥ずかしいところを見られましたね!
あの、よかったら宿を教えてもらえませんか?」
旅の人というのは無計画で成り立つのだろうか?私は少しだけ疑問に思ったのだが、すぐに返答をした。
「はい、では少し古いですが案内しましょう。」
彼はまだ濡れているであろうアロハシャツに袖を通した。
最初のコメントを投稿しよう!