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一方の観死室。
「片桐ワンマンで…」
一人の観死員が呟いた。
室内に設けられた喫煙ルームで三人の観死員が雑談をしていた。
この場所では、特に仕事に対する話などをする者はいなかった。
雑談という息抜き箱だったのだが、話題は仕事で、中心人物は片桐と佐伯であった。
「観死長の思惑が読めないな…
何故、佐伯に?火に油だろうが?」
そう言うと煙草の煙を暗い顔で吸い込む。
「片桐と観死長が決めたんだろ?
思惑も何も、ただの神会社の査定だと思いますがね。」
そう語る彼はコーヒーを熱そうに啜った。
すると、三人目が口を開く。
「ライオン…か…」
一人は煙草を、もう一人はコーヒーカップを止めた。
「ライオンは動物界の王様だな…
片桐は俺にそれを言いたかったのかも知れない。
観死長の座ではなく、黄泉にある全てを…」
動きが止まっていた二人が再生する。
二人は笑っていたのだが、何処となく表情が硬かった、否定するという枠ではない。
「この件を洗い直す必要があるんじゃないか?
観死長も、このケースに対して慌て過ぎたんじゃないか…
片桐はルーキーだが、腕も思考も能力としては高い。
そして佐伯も死神としては癖があるが評価が高い。
神会社の死神課が負債原因というのは確かだが、あまりにも今回の件は強行じゃないか?
出された試練に対して、神会社は佐伯というカードを出す…もちろんだろうな…
こちらは片桐…
死神課の負債を詳細に調べ、課を消す事を提案した張本人…」
この独り言ともとれる話を彼らは黙って聞いていた。
その間に煙草の灰は落ち、コーヒーは湯気を無くした。
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