第1章:小柳剛

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(──急がなくちゃ) 今日はジリジリと太陽の光が腕を攻撃し、アイスが10秒たつごとに小さくなっていくような妙な感覚がする。 この太陽の元で10分も20分もいれば望んでもいない日焼けをし、水分を欲する。だがそれさえも気づかずにその辺に倒れて病院生活を余儀なくされる。そんな人生も悪くないと僕は思う。 ──ドンッ!! 「おい!よく前を見ろよ!」 「すみません……」 隘路(アイロ)でもないのに僕は向こうから歩いてきた50代ぐらいのサラリーマンの人とぶつかった……らしい。体当たりした衝撃でコンビニで買ったアイスがバラバラと床に落ち、拾おうという意欲が暑さのせいか感じられない。 「やっぱり袋にいれてもらえばよかったか」 ソーダ味の当たりつき棒つきアイス3つにテープを貼ってもらい抱えて持って行った方が早い……と思ったがそれは勘違いだったみたいだ。 「袋に入れていれば落とさなかったかな……あと7分か」 と相変わらず袋のせいにしながら腕時計をチラッと見る。
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