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「よかった――時……」
一人言を言い切る前にドアを開くと既に厳つい表情をした隆志と冷淡な目つきをした悟郎が腕を組んで待っていた。
「……おまえわかってんのか。五分も遅刻だ、剛!」
僕の仲良しグループ(仮)のリーダーである隆志が鋭く僕を睨んで言った。体を見ての通り、声もたくましく耳障りになるぐらいである。
見た目はぶっちゃけ豚に近い。いや、豚の中でも一際餌をよく食べる豚だと思う……けれどそんなことを当然口に出来ない僕。
「だって……ほら、約束の十三時に持ってきたし……」
「おまえ、隆志に口答えするのか?
五分前行動って言葉があるんだぜ?」
と、隆志の右横にいた悟郎が僕の持っていたアイスをひったくるように奪った。
悟郎は隆志と正反対で背が高く痩せていて……餌を全然食べない眼鏡をつけたカンガルーのようだった。
「これはリーダーのアイスだよ」
「おう♪」
隆志がうきうきしてアイスを2つ受け取る。
僕はリーダーのことを心の中では隆志と呼び捨てにしていた――当然これも僕の中の秘密。
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