16人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「よっこらせっと!」
仰向けの状態から足を顔の前まで持っていき反動をつけてごろんと起き上がる。
身支度を素早く済ませると今日も妖の通学路を先回りするのだった。
それ自体はいつものことだ。しかし今日はビッグニュースがある! 妖もきっと喜んでくれるはずだ。
私は駆け足で向かった。そして待つこと数分。妖と真がやってきた。
「おっはー」
そう言って大きく手を振ると真はふりかえしてくれた。
妖はまあいつものことか、と思い諦めた。
まあ彼もこのニュースを聞けば飛び上がって私に抱きついてくれるだろう。
「おはよー。なんか嬉しそうだね? 良いことでもあったの?」
「うん! 聞いて驚け見て笑え!」
「古いよ!」
「何かあったと聞かれたら! 答えてあげるが世の情け!」
「あれもう変わっちゃったよ!」
私の渾身のボケにも妖はくすりとも笑わない。やはり才能がないのか……。
「うん、まあ……異世界に行ける道を見つけたんだよね」
最初のコメントを投稿しよう!