一章 サンタな熊さん

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 そして三十分後、青海学園の生徒会長である姫百合蓮先輩による開会宣言があり、町民や他校の生徒が学園内になだれ込んでいた。  写真部は空き教室を一つまるまる使って優羽のファッションショー……というかほとんどただの撮影会になっている。  優羽の半径五メートルのところに仕切りを造り、優羽のファンと思われる連中が仕切りの外からハァハァ言いながらシャッターを切っている。  当の優羽は恥ずかしさ通り越してかなり嫌そうだ。  優羽が少しでも安心できるよう、俺は優羽のそばにいて問題が起きたらすぐに対処できるよう待機する。  望さんと比泉は準備が終わるや否や「本命の準備をしてくる」とか言ってこの場を俺一人に任せてどこかに行ってしまった。  あの二人にとってはこのファッションショーも周囲の目を引きつける為の囮でしかないってことなんだろう。  なんだか納得いかない。
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