一章 サンタな熊さん

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 その後、数回比泉が用意した衣装に着替えてもらい、予定していた一時間を越えたのでファッションショーは打ち切りとした。  ブーブー言いながら教室を出て行く優羽のファン達のことなんかこの際気にしない。 「お疲れ、大丈夫か?」  たったの一時間でも、ただでさえ人見知りの激しい優羽にとって大勢の人間の視線を浴び続けるのはどんな気持ちなんだろうか。 「うん……大丈夫。最初は怖かった……けど、最後の方は……慣れてきた……から」  途切れ途切れ言葉を発する優羽。  思ったよりはこたえてないみたいだ。もしかしたらこの企画は優羽の人見知りを直す為に考えられたのかもしれないな。  望さんも優羽の極度の人見知りは心配していたし、人の視線に慣れれば治るかもしれないと考えた……まぁ、あくまで俺の想像だけど。
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