一章 サンタな熊さん

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「ほい、おまたせ」 「……いいにおい」  蓮の前にキチンとソーサーに乗せたティーカップを置く。  ミルクと砂糖を添えることも忘れない。  まぁ俺にそんな技術はないので肝心の紅茶自体はインスタントのものなのだが…… 「……美味しいです」 「どういたしまして」  それにしても、優羽の紅茶を飲む姿はとても上品に見える。  望さんは神社の息子ってこともあってか正直優雅に紅茶を嗜む姿なんか想像もできないが、優羽にはよく似合っている。 「なぁ、優羽のお母さんってなんの仕事してるんだ?」 「えっと……お母さんはお仕事してない……です」  ……あれ? 離婚してるんだから優羽の家ではお母さんが家計を養っているんだと思っていたんだが…… 「お母さんのお父さん……つまり、私のお爺ちゃんが……有名な電気会社の社長なので……」  なるほど、親からの援助があるから大丈夫ってことか。  ちなみにその電気会社の名前を聞いてみたら、思わず腰を抜かしてしまったよ。  優羽が上品に育った訳が頷ける。
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