一章 サンタな熊さん

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 その後も優羽とまったり過ごしているうちにクリスマスパーティー1日目の終了を告げる放送が流れた。  この後は自由解散。  写真部は後片付けがあるのだが、比泉から『後片付けは俺と部長に任せてお前は水無月優羽を家まで送ってやれ』という内容のメールが届いたので、俺は現在優羽に道を聞きながら優羽の家までの帰路を一緒に歩いている。  優羽の家には今まで行ったことなかったけど、きっと大きな家なんだろうなぁ…… 「えっと……ここ……です」  そう言って優羽が指差した先には高級住宅が立ち並ぶ中でも一際大きな一軒家。  二台分のガレージに庭付き、オマケに三階建てですよ三階建て。 「あの……りょーくん?」 「ふぇ? なに?」  あまりにも目の前の建物にビックリしていたのでちょっと呂律(ろれつ)が回らなかった。 「明日も……明日も一緒にいてほしい……です」  不安気に言う彼女の姿は凄く弱々しくて、一緒にいてあげたい。守ってあげたいと思った。  青海祭の時の告白の返事……もしかしたら心の奥ではとっくの昔に決まっていたのかもしれない。 「うん……約束するよ」
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