二章 想い届く時

2/15
前へ
/167ページ
次へ
 写真部の部室に入ると、そこにはすでにソファでくつろぐ優羽の姿があった。 「待たせちゃってごめん」 「私も今来たところ……だから」  こういうセリフを女の子に言わせちゃう俺ってダメ男?  今日はファッションショーもないから長い間一緒にいれるし、挽回のチャンスはいくらでもあるさ。 「今日はどこか行きたいとこってあるの?」 「えっと……これ見たい……です」  優羽はクリスマスパーティーのパンフレットを取り出して一つの項目を指差す。  それは映画研究部の上映会。  内容は恋愛ものらしい……デートっぽいな。 「20分後に第1回目の上映があるみたいだから早めに行って席取ろうか」 「……うん!」  いつからだろうか、優羽と一緒に歩く時は自然と手を差し出すようになっていた。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2551人が本棚に入れています
本棚に追加