二章 想い届く時

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 映画研究部って意外と人気あるのか?  まだ上映15分前だっていうのに前の方の席は全て埋まっていた。  なんとか後ろの方に二人分の席を確保することができたが、所詮は高校のイベント。  映画館のように後ろの席が高くなっているわけではないので後ろの方の席は極端に見にくい。  これなら立ち見の方がマシかもしれない。 「優羽、見えるか?」  そう聞いてみると、優羽は自分の鞄から熊のぬいぐるみを取り出した。 『見えないです』 「だよな……」  どうしたものかと考えていると、優羽が突然立ち上がり、あろうことか俺の膝の上に座ってきた。 『これなら……見えます』  いやいや待て待て。  これじゃ俺が見えないとかそういうことはこの際どうでもいい。  対して映画に興味があるわけじゃないからそれは構わないんだが……さすがに恥ずかしすぎるぞこれは。
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