二章 想い届く時

4/15
前へ
/167ページ
次へ
 結局なんの抵抗もできぬまま、映画が始まってしまった。  上映開始時には後ろの席も満席になっていたので、今更席を変わることもできない。  突き刺さるような周りからの視線……恥ずかしさがハンパないです。  膝の上に乗っている優羽は心なしか楽しそうだ。  まぁ優羽が楽しめてるなら構わないんだけどさ……  俺は早くこの恥ずかしさから解放されたいという気持ちと、優羽の柔らかい太ももをもっと堪能していたいという2つの矛盾した気持ちを抱えながら、ただ恥ずかしさに耐えていた。  ――そして30分後、映画の上映が終了した。  次々と席を離れていく観客達。  優羽もようやく俺の膝の上から降りてくれた。 『ごめんなさい……痛かった?』 「いや、むしろ気持ちよかったです」  優羽はそんな俺の発言にしばらくハテナマークを浮かべていた。
/167ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2551人が本棚に入れています
本棚に追加