二章 想い届く時

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「映画、楽しかったか?」  次の目的地も決まっていなかったので、ただなんとなく優羽と二人で校内をぶらぶらと歩く。 『楽しかったです』  そうか、楽しかったか。  俺は優羽のことを意識しすぎて映画の内容なんかこれっぽっちも頭に入ってなかったので、これ以上映画の話で引っ張るのは危険かもしれない。 「そろそろ飯でも食うか?」  時間も丁度いいし、割と腹も減っていたのでそう提案してみると、優羽もまんざらでもなかったのか無言でコクリと頷いた。  クリスマスパーティーで飯が食えるところと言ったら屋台かもしくはなんちゃら喫茶とかくらいなんだが……  どちらもありきたりであまり魅力は感じない。 「普通に食堂でいい?」  校内の食堂ではクリスマスパーティーの特別メニューなるものもあるらしいのでむしろこちらの方が魅力的だ。  優羽も依存ないようで、再びコクリと頷いた。
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