二章 想い届く時

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 いつもは青海学園の生徒でごった返している学生食堂も、こういったお祭り事では出店と客が二分されるので、お昼時の今でも空いている席がいくつか見られた。 「とは言っても完全に空いてるテーブルはないから相席させてもらうしかないな」  周囲を見回して見ると、昔からよく知る知り合いを発見した。 「おっす、ここいいか?」 「亮介……てめぇ見せつけに来やがったのかよ?」  そんな自称、亮介の親友久世裕二(くせゆうじ)を無視して向かいの席に優羽を座らせ、俺はその隣に腰かける。 「そっちもデートなんじゃないのか?」  裕二の隣には同じクラスで俺と同じ図書委員を勤める咲崎楓(さきざきかえで)の姿。 「ボクと久世くんがデート? あはは、冗談きついなぁ」  ……なにかが壊れる音がした。  裕二の気持ちに気づいてやれ、とまでは言わないが、ここまでハッキリ否定されると男は誰でも傷つくぞ。
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