序章 気になる存在

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 そんな写真部にちゃんとした部室などあるわけもなく、学園の地下に造られた地下室や校内に隠された隠し部屋などを勝手に部室として使っている。  なぜ学園内にそんな物があるのかというと、設立者の趣味らしいのだが、なにか目的があったのか……詳しいことはわからない。  今日は特に写真部での活動があるわけではないのだが、放課後特に予定があるわけでもないので俺は本部と呼ばれている一際大きな地下室で暇を潰していた。  そんな時、室内にコンコンというノックの音が響き渡り、一人の女生徒が入ってきた。 「あ……りょーくん」  俺をりょーくんと呼ぶこの女の子の名前は水無月優羽(みなづきゆう)。  部長である水無月望さんの妹で、写真部唯一の女性部員。  あれから2ヶ月もの時が流れているわけだが、今でも優羽の顔を見る度に青海祭での出来事を思い出してしまう。
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