【とある男の日曜日】  

3/4
前へ
/155ページ
次へ
「―――ん?」 どこからか聞こえてくる太鼓の音に、その男は顔を上げた。 そして、ゆっくりと辺りを見渡す。 無心に近いまま歩いていたせいか、今いる場所がどこだかわからない。 歩いて来れる距離なので迷うまではいかないが、この景色は見たことなかった。 左手には太い道路。十字路では信号待たの車が列を成している。 さらにその奥には駅。 駅があるのでどうやら帰れないということはなさそうだ。 男はひとまず安心し、太鼓の音がする方へ歩いた。 音はすぐ近くにあった。  
/155ページ

最初のコメントを投稿しよう!

169人が本棚に入れています
本棚に追加