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「―――ん?」
どこからか聞こえてくる太鼓の音に、その男は顔を上げた。
そして、ゆっくりと辺りを見渡す。
無心に近いまま歩いていたせいか、今いる場所がどこだかわからない。
歩いて来れる距離なので迷うまではいかないが、この景色は見たことなかった。
左手には太い道路。十字路では信号待たの車が列を成している。
さらにその奥には駅。
駅があるのでどうやら帰れないということはなさそうだ。
男はひとまず安心し、太鼓の音がする方へ歩いた。
音はすぐ近くにあった。
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