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まず男が来たのは、初等部の校舎だった。
中等部や高等部と違い、通学年数が倍あるせいか校舎自体がかなり巨大(でか)い。
下駄箱にあったコンビニ袋に靴を入れ、用意されていたスリッパを履き、中に入る。
途端に子どもが寄ってきた。
まだ小さい子どもだった。男の子2人だった。
「ぼく達のクラスを見に来てよ」
「すぐ近くだから」
まだ声変わりしていない、高い声で話しかけてくる。
2人共上下真っ黒の服を来ていた。靴も真っ黒である。
顔は黒くはなかったが、爪はなにか塗ってあり黒く光沢が出来ていた。
「君達のクラスはなにをしているんだい?」
「創作物語だよ」
「全部ぼく達が作ったんだ」
笑顔で2人が言った。
「そうか」
男はテンションの違いに戸惑いながらも、彼らの教室がどこかと尋ねる。
「見てくれるの!」
「ああ。興味はあるからね」
「じゃあ着いてきて!」
「案内してくれるのかい?」
「うん!」「もちろん!」
2人が同時に叫び、男の手を引いて廊下を進んでいく。
やがて、2―1とプレートがかけてある教室の前で止まった。
「ここかい?」
男は問い、
「うん」「うん」
男の子が肯いた。
「それじゃあ~」
「お楽しみくださ~い」
男の子がドアを開けたので、男は中に入る。
「【黒猫LIFE】始まります」
どこからかそんな声が聞こえ、そして始まった。
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