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その声があまりに悲痛だったから――思わず足を止めてしまった。
正直面倒だ、そう思い振り返ると穏やかな表情をした悪魔が泣いている。
「・・・何で泣いてるんだよ。
俺を守った所でお前に得はないだろう?」
「違う・・・違うんだよ!」
泣いているから上手く言葉が出てこないのだろう。
仕方ない、少しだけ待ってやるか。
「潤は、優しいからそんな風に僕を突き放すんでしょ?」
「何・・・何を言って―――」
「僕はずっと君を見てきたから知ってるよ?
裏切られるつらさが分かるから自分が必要悪になれば良い、って思ってるんだよね。
打算や損得勘定でしか動かないって皆に言ってるけど本当は誰より傷付きやすい優しい人間なんだって事、僕はちゃんとわかってるから」
心の中を見透かされた、気がした。
そんな話・・・誰にも悟られないように生きてきたのに。
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