序章 月の都

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―玉座の間― 「叔父さん来たよ❗」 扉を開けると同時に叫んだ。 「おぉ❗来たか❗❗」 男は玉座から立つとジークたちを迎えた。 そう、叔父とはルナヌーン王のことである。 ジークの父はルナヌーン王の弟で、ルナヌーンから歩いて三日の位置にある商業都市タバランで宝石細工をしている。 今日はその父から首飾りを預かってきたのだ。 「少し見ない間に大きくなったな」 「エヘッ、」 ジークはニコニコと笑う。 「けっ、なにがエヘッだよ。首飾り、渡しに来たんだろ」 「あっ、そうだ❗・・・・はい、これ、頼まれたものだよ。父さんが自信作だって」 ジークは袋からスミレ色の宝石があしらわれた首飾りを取り出した。 「おぉ❗素晴らしい❗これなら后も喜ぶであろう。たしかに受け取った」 ジークは父の作品を褒められ誇らしげにわらった。
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