序章 月の都

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「ところで、おまえも今年で15だな。王家の男子は代々、15で武者修業に出るのが習わし、分家のおまえも例外ではない。しかし無理強いはしない。だが、わしも、おまえの父もこの旅で多くのこと得た。 だからおまえにもと思うのだ。」 「はい、叔父さん。わかっています。父さんとも話して、来月旅立つことになっています。」 「俺様も一緒だ」 ルウも答えた。 「そうか❗ならば・・・・・・」 王は懐から一刀の宝刀を取り出した。 「これを持って行きなさい。これは〈水禺刀―スイグウトウ―〉。なりは小さいが、一度抜くと・・・・・・・・ほれ、このとうり」 抜きはらわれた瞬間、水禺刀は水しぶきとともにその姿を大太刀へと変えた。 その美しさたるや、月の光をそのまま閉じ込めたかのようだ。 「見事であろう。だが驚くのはまだ早い、切れ味もさることながら、砂漠の宝、水を生み出すことが出来るのだ。水が必要なときは、月に掲げればよい。つまり夜だけだな。」 ルナヌーン王は水禺刀を鞘へ納めるとジークにわたした。 「ありがとう❗」 「いいんだよ。甥っ子にささやかなプレゼントだ。おまえの父も若い時分に使っていたから旅立ちまで使い方を仕込んでもらいなさい」 「はい‼」 叔父からの贈り物を大事に抱えジークたちは帰路に立った。
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