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私は
「そんな簡単なことだったのか」
と、目からウロコが落ちるような気分だった。
悩み続けたことが一気にバカバカしくなった。
父のリストラを見ていたこともあり、せっかく手にした仕事を自分から辞めるなどということはあってはならないと思っていた。
だから「死」意外に解決策はないと思っていたのだ。
それはすでに抑鬱の症状だったのだろうが、その時の自分にわかるものではなかった。
周囲も理解してくれている中、自分を縛っていたのは他でもない自分だったのだ。
「素直だ、いい子だ。」
と言われ続け、明るさよりも正確さを求められる世界があるなどと考えもしなかった。
どんなに辛くても明るく振る舞おうとすることが良いことだと信じ込み、本当の気持ちを表現するということを忘れずっと押さえ続けていた。
誰にも理解されるはずがなかった。
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